寒泉旅行

Posted on 3月 11th, 2008, by gyorin

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先日温泉旅行にいってきました。
うそ。そこは寒泉でした・・・。
当初予定していた所が急にだめになり、急遽行き先を変えたのですが旅行前日くらいの変更だったので過去に聞いたことのあるうろ覚えの温泉に自炊で割り込みました。
那須の先の方で、何度か連れられて行ったことはあるのですが、実際場所とかよくわからない。「那須」とか聞くと「那須高原」「牧場」「ファミリー」など緩やかな観光地をイメージします。
こっちもそのつもりで観光スタイル。
が、ドッコゐ。
牧場とか高原とかの山小屋風(「高原のチーズケーキ屋さん」とか「ブルーベリーのなんとか」とかね)を抜け、気づけば寂れた山の麓町・・・。「自炊」なので食料調達しなきゃならないんだけど、食料を売ってる場所すら怪しい感じ。
「なんか店、なくない?」「ないわけないでしょ」「ここの人どうすんの?」「街まで行って日曜にごっそり買う」とかいう会話がちらほら出る感じ。
『大型ショッピングセンター「肉」「魚」「日用品」』とか書かれた超寂れた小さい酒屋みたいな店を横目に過ぎるとその先はカーブから先見えないような山道・・・。
もうさすがに人すら住んでなさそうなので大型ショッピングセンターに戻ります。
大型ショッピングセンターは小型で、肉が豚肉が3パック。魚は冷凍がちらほら。干物がちらほら。野菜もがらんとした置き場に数えるくらい。本来野菜で埋まるべき冷蔵棚には乾き物が陳列。
その中からぎりぎり鍋に入れてもおかしくないような食物を選び抜き、なんとか調達は完了。肉はなくなってしまって、この町の人は今夜は肉はなしです。
この調子だと宿にも過度の期待はできないためワタシはタバコが恋しくなり、「タバコ」と大きく書かれた店に駆け込みました。なぜか風呂釜がでんと真中に置いてあり周りを人が囲んでいます。
「タバコありますか?」「タバコはないんだよ」だって・・・。じゃ大きく書いとくなよ!
さあ気を取り直して山へ。山は吹雪いてきて車内一同息を呑みます。
いくつもカーブを抜けるうちに吹雪は本気になり、一寸先も危ういほど。車のナビは道から外れた空間を指しています。当然皆によぎる「あってんのか?」の疑念。
疑念と不安に駆られながらもよたよたと進み、やっとのことで駐車場と思しき場所に到着。
「温泉はコチラ」とか看板の指す先は雪が積もって急斜面と化した急な階段。
「なに?歩くの?」とか聞かれてもこっちもワカラン。「歩くんじゃないの?歩いた気がする」
しょうがないので個々荷物を持ち、吹雪の中へ。ザ・高原スタイルできた子は最防寒が街コート。車内にあったプーの毛布を被り、遭難者のように温泉宿へ歩を進めます。
下れども下れども温泉は見当たらず。「あってんの?」「あってるも何もこっちしかないでしょ!」
間違ってる場合、この凍った急坂を戻らねばなりません。ジーンズの足は凍り(ほんとに雪が張り付いて凍ってる)、素手は真っ赤で感覚を失い、打ち付ける雪に限界を感じた頃・・・宿は現れたのです!
外には大きなプール状の湯気をあげる温泉。これこれ!
宿は暖かく、皆ほっとして部屋にも案内してもらいまずは一安心・・・。
が、ドッコゐ。
なんと部屋に暖房施設はなく、しょぼいコタツがひとつ・・・。(何故か豹柄)
「うそ」
剥がれた壁紙はガムテープで補強。押入れは襖がなく、ドアは閉まりません・・・。
なんとも寂れた趣のあること・・・。
あんまり寒いので温泉にいこうということになり取り急ぎは表の大プールへ!!これがここの売り!!
勿論ビールをわんさか持って、意気揚揚♪
外は超吹雪で温泉へ飛び込みます。
・・・・超ぬるい・・・。外気?9度、温泉37度。温泉の出てくる蛇口付近半径30cmから外にでると恐らく湯温は34度くらいでは・・・?全然暖かくないのでビールも進まず、皆の髪はみるみる凍っていきます。その様は面白いくらいで、ロングヘアはつららに、ショートは雪を被り白髪に。髪を掻きあげればスーパーハードの整髪料ばりに決まります。
「温泉で雪を当てあう」とか目論んでいましたがとんでもねえ。もう早々に上がり、他に温泉もありましたがすっかり意気消沈して取り急ぎご飯でも食べることに。タオルなんか早速凍っちゃって、重力無視して横で固定できます。
さてご飯は自炊ですが、自炊場がまた凄かった・・・。コンクリ打ちっぱなしでがらんとした台所には雪が吹き込み、水は凍らないよう出しっぱなし。そこがまた寒寒として、実に赴きを感じます・・・。
給食のような鍋で作ったごった煮鍋と酒を煽り、唯一のコタツでやっと温まってくると、もう温泉にいくの面倒くさい・・。ていうかここから出て再びあの寒冷地へ行って更に裸になるとか考えると・・・・でそのまま寝ました。
次の日。朝風呂に入り他の客の噂で「除雪車がくるまででれない」とかいうのを漏れ聞き、外の確認のために窓の襖(窓ではなく窓の前に一枚襖があるわけね)をあけてみると・・・。そこは雪山でした・・・。
なにこれ???!!!ここ室内でしょう?!こんなんあり??
飲み終えた缶とか飲む前のビールとか、皆雪に埋まってやんの。にわかに信じがたい光景。
更に例の自炊場はすっかり雪が吹き込み、「過去に台所として使われてた場所」みたいに台所風を残した雪像のよう・・・。鍋に張った水はすっかり凍り、先の廊下は風が吹くたび「びゅうう」と吹雪が横切ります。
面白すぎるこの寒泉。なんか雪女がやってる宿みたい。
なんとか道ができ、再び吹雪を漕いで駐車場へ。雪女の悪夢から逃れ、やっと本当の安住の車へ・・・。
がドッコゐ。
なんと僅かな窓が開いてたがために車内左半分にはこんもり雪が積もり、シートは雪まみれ・・・。
ここにも安住はなかった・・・。本気で呪いかとおもった。
相当印象的な寒泉旅行でした。

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